1月末、完成した「つぶやき集」が送られてきました。正式な書名は『大川地区ふるさとの記憶』で、サブタイトルが「釜谷・間垣・長面。尾崎」模型プロジェクトつぶやき集となっています。
表紙 |
本文 |
本の形はA5版並製で総頁が320頁、本文用紙が立派というかかなり厚いので1部の重さが600g、厚さは2cmもあるズッシリした思い出集です。
制作・編集には神戸大学大学院槻橋研究室の皆さんが当たっていただいたようで、槻橋准教と中島さんが監修にあたっています。皆様ほんとうにありがとうございます。長面出身の一人として我がことのように嬉しいです。
さて内容は、まずカラーの口絵写真が多数、第1章としてまとめられています。
・震災前の釜谷・間垣地区
・被災前の長面・尾崎
・被災後の大川地区(長面浦周辺)
・集団移転とふるさと
管理人の個人的な感想では、せっかく美しいふるさとを模型で再現したのに、その写真が少ないのが少し残念でした。
第2章がこの本のメイン。模型製作中に参加者がつぶやいた地域や自分の家のことなどの思い出集です。
釜谷、間垣、長面、尾崎のブロックに分かれ、1ページに2つの“つぶやき”が収められており、約250ページありますから、500近いエピソードが収録されているようです。
そのどれを読んでも「そうだよね」「そうだったね」と共感するものばかりですが、なかには「知る人ぞ知る」「見る人が見ればわかる」というようなこともたくさんあって、興味が尽きません。
●〈釜谷〉木村鉄工はナタやクワなど農機具や漁具もなんでも作ってる街の鍛冶屋さん。フイゴを使って作っているのを覚えている。(70男性)
●〈釜谷〉泳いでもいいところに「らん杭」んがあって、そこだけ川の流れを緩やかにしていた。らん杭の上を飛び移って遊んでいたが、足を踏み外して川に落ちるとかなり痛い。洪水の後はその杭に、さまざまなものが引っかかっていた。(60代男性)
●〈釜谷〉シドケ、ワラビ、ミズ、タラノメ、コシアブラなど山菜をよく採りに行った。
朝や日が沈むと白鳥がみんな一列になって飛び立っていた。(70代女性)
●〈間垣〉豚を育てつつ、農業もしていた。農協の屋根裏で遊んでいた。(70代女性)
●〈長面〉35年前に引っ越してきたときは道がなく、林の中の道を通っていた。東光園さんが寺を作った。松林の中で狸、キツネ、キジ、蛇がよく出た。松林でキノコが取れた。昔はマツタケも取れた。朝ごはんに浜からシジミ、松林からキノコを採ってきていた。(60代女性)
●〈長面〉砂浜の大きさは昔はもっと広かった。松原荘から海がすごく近いときもあった。その時代、その時期によって砂浜や海の形は変わった。(50代男性)
●〈長面〉トンネルがあり、中は掘った後のような岩や土がでこぼこしていた。ヘビーカーでここを通ると真っ暗でガタガタしていて子どもが喜んでいた。近道にもなった。(50代女性)
●〈尾崎〉ボラをつかまえるために弘象山から手信号を送っていた。島々がきれいだった。(40代男性)
●(尾崎)船はすごく多かった。100隻ぐらいあったかもしれない。(40代女性)
いくつか引用させていただきましたが、これだけでもふるさとの情景がよみがえってきますね。
この本を手にした皆さんからは
などのお便りをいただいています。
皆さまもぜひ手に取ってご覧いただければと思います。
初版の印刷は400部だそうで、うち100部はお世話になった方々に贈呈され、残りは大川地区で被災されたご家庭に配布(希望者、1世帯1冊まで無料)されることになっているそうです。地域外の方や追加購入をご希望の方には1部1000円でお分けするそうです。
●現地販売 間垣の遠藤仁雄さんの所に在庫があるそうです。
●郵送販売 1部1000円+送料(1部あたり250円程度)
詳細は近日中にプロジェクトのfacebookに掲載予定とのことです。
お急ぎの方は長面浦海人へ
メール nagatsuura@gmail.com または
電話(090-7330-3311)でお問い合わせください