沢木老師と 登米の生家で

老師発つまぎはに啼きし古里の昔乍らの郭公の声  祖道

 登米より岩手県江刺郡米里村人首(ひとかべ=ヒトカウベがヒトカベとなりたる由)なる自徳寺に行かせ給う老師のお供して、仙北線にて瀬峰駅に参り五分ほど待合せて東北線下りに乗車(九時五十三分)
 老師は汽車の窓に寄られ文芸春秋をお読みになられ、私はみちのくの景色を眺めつつ、汽車みちほとりの草土手に三つ四つ咲ける昼顔の花を見たとき、今年のひるがおの花を私は今見たと思ったりしました。

  みちのくで見つる今年のひるがおの花 三つ五つ草土手に咲き

              
横山祖道著『我立つ杣』〜奥の旅つと〜 より
 


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