音のアルバム@ 「安泰寺歌曲集」から
われいかにせん 作詞・作曲 横山祖道
黒く三つ並ぶ山はきさらぎの美しき三日月われいかにせん
玄琢の釈迦谷口よ鷲ヶ峰の美しき三日月われいかにせん
右二首昭和29年2月6日旧正月3日によめる ちなみに二日月も美しかりき
お風呂屋でお風呂をあがりはだかにて目方を測る子供の姿
2月22日夜貞享の上野温泉より戻りて作歌
屋根の淡雪しげくとくる2月23日作曲
(前略)……さて「己いかにせん」の歌 人は美しいものを見ると「どうして斯う美しいのだろう 何か奥の方にあるに違いない」と不思議に思ってその不思議なものを尋ねるのです
そのかみ私 古里にてそういうことをしたのです しかし宇宙の方ではそれに相当する何物も持っていなかったのです それで私にわかったことは宇宙の方で何んにも持たないなら私の方でもなんでももたないに限る 若し何んか持ったら宇宙の方でもたないものをこちらが持ったのだから それだけで行き過ぎで野球でいえばオーバーラン アウト たとえタッチされなくともオーバーランならアウトの資格があるということでした そこで昔の仏祖方が坐禅して呼吸のみしておられたという なるほどなるほど そうなくては宇宙人生はラチがあかないと強く思ったことが今から20年前のふるさとで坐禅をはじめた因縁でした 私も今美しい三日月など見ればどうしてこんなにうつくしいのだろうと想いたくなりますけれども「己いかにせん」と歌によむだけで(これ以上如何にすべきものでもなく いかにしうべきものでもないのです)私はこんなひとりごとしたいために「われいかにせん」を詞曲しました……(以下略)
(祖道師の作歌・作曲集『草笛禅師歌曲集』は近々、全頁収録予定です)
●演奏 (演奏 fx5)
(00:35)
●楽譜